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「入れ歯は作って終わり」は危険?合わない入れ歯のリスクと全身を守る「口腔機能管理」とは

愛知県春日井市の竹村歯科クリニック院長、竹村 洋志です。
当院では「治療を通じて、これからの患者様の豊かな人生を守る」ことを信念に、お一人おひとりに最善を尽くす診療を行っております。
今回は、「合わない入れ歯の放置」と、近年歯科医療で最も重要視されている「口腔機能管理」についてお話しいたします。入れ歯は決して作って終わりではありません。ご高齢の患者様が一生涯、ご自身の口で美味しく食事を楽しむためのヒントとして、ぜひご家族の皆様も一緒に最後までお読みください。

「入れ歯を作ったものの、痛くて外したままにしている」
「何年も前に作った入れ歯を、一度も調整せずに使い続けている」
ご自身やご両親に、このような様子はありませんか?実は、入れ歯は「作って終わり(入れて終わり)」ではありません。

合わない入れ歯を我慢して使い続けることや、外したまま放置することは、単に食事が不便になるだけではありません。噛む力や飲み込む力といった「お口の機能」を急速に低下させ、全身の老化や衰え(フレイル)を招く重大な原因となります。

そこで近年、歯科医療において最も重要視されているのが、定期的な検査とリハビリでお口の健康を維持し続ける「口腔機能管理」という考え方です。本記事では、竹村歯科クリニックが専門的な視点から、合わない入れ歯の恐ろしいリスクと、お口の機能を最期まで守り抜く「口腔機能管理」のアプローチについて詳しく解説いたします。

1. 「入れ歯を入れたら安心」の落とし穴。お口の環境は日々変化する

多くの方が、「高いお金を出して良い入れ歯を作ったから、これでもう一生安心だ」と誤解されています。しかし、靴や洋服が体型の変化とともに合わなくなるように、入れ歯も時間が経つにつれて必ずお口に合わなくなっていきます。

合わなくなる最大の原因は「顎の骨が痩せること」

歯を失った部分の顎の骨(顎堤)は、噛む刺激が直接伝わらなくなるため、年を重ねるごとに少しずつ吸収されて痩せ細っていきます。完成した当初はぴったりと吸着していた入れ歯も、土台となる骨の形が変わることで、数年後には必ず隙間が生じます。この隙間を放置して噛み続けると、入れ歯がガタつき、周囲の健康な歯や歯ぐきに過剰な負担をかけてしまうのです。

唾液の減少と摩擦による痛み

加齢や服薬の影響により、ご高齢の方は唾液の分泌量が減少し、「口腔乾燥症(ドライマウス)」になりやすい傾向があります。唾液は、入れ歯と粘膜の間に入り込んで吸盤のように密着させる役割や、噛むときの摩擦を和らげるクッションの役割を果たしています。お口が乾燥した状態で合わない入れ歯を使い続けると、粘膜が直接擦れて傷がつき、強い痛みを引き起こす原因となります。

痛いから「噛まない」…使わない筋肉はすぐ衰える(廃用症候群)

入れ歯が当たって痛いと、人間は無意識のうちに痛みを避けようとして、あまり噛まずに飲み込んだり、柔らかいものばかりを選んで食べるようになります。すると、噛むために必要な口周りの筋肉(咀嚼筋)が使われなくなり、あっという間に衰えてしまいます。このように、機能を使わないことで心身の機能が低下していく状態を「廃用症候群」と呼び、さらなるお口の老化へと繋がってしまいます。

2. 合わない入れ歯の放置が招く「口腔機能低下」のリスク

不適合な入れ歯(合わない入れ歯)を使い続けることは、ただ「食事がしにくい」という不便さにとどまりません。お口の機能が低下する「口腔機能低下症」を引き起こし、全身の健康を脅かす重大なリスクをはらんでいます。

噛む力の低下(咀嚼機能低下)による低栄養とサルコペニア

しっかり噛めなくなると、お肉や食物繊維が豊富な野菜を自然と避けるようになり、うどんやパンなど糖質中心の食事に偏ります。これにより深刻なタンパク質・ビタミン不足(低栄養)に陥ります。栄養が足りなくなると、全身の筋肉量が減少して足腰が弱る「サルコペニア」という状態になり、転倒や骨折、そして寝たきりへと繋がるリスクが急激に高まります。

飲み込む力の低下(嚥下機能低下)と誤嚥性肺炎

合わない入れ歯を入れていると、舌の動きが制限され、食べ物を喉の奥へと正しく送り込む力(嚥下機能)も同時に低下します。飲み込む力が衰えると、食べ物や細菌を含んだ唾液が誤って気管に入りやすくなります。これが原因で肺に炎症を起こすのが、高齢者の死因として非常に多い「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」です。お口の機能低下は、まさに命に関わる問題なのです。

脳への刺激減少と認知機能への悪影響

「硬いものをしっかり噛みしめる」という行為は、顎の筋肉を通じて脳の広範囲(記憶を司る海馬など)に血流を送り込み、強力な刺激を与えます。しかし、入れ歯が合わずに噛む力が衰えると、この脳への刺激が激減してしまいます。実際に、歯を失って入れ歯を使用していない人は、しっかりと噛めている人に比べて認知症の発症リスクが有意に高いことが、数々の研究で明らかになっています。

3. お口の老化を防ぐ新しい常識「口腔機能管理」とは?

これらのお口の衰え(オーラルフレイル)や全身の老化を防ぐために、現代の歯科医療において最重要視されているのが「口腔機能管理」です。

作って終わりではない。「管理し続ける」という発想

口腔機能管理とは、虫歯の治療や入れ歯の作製といった「形態の回復」にとどまらず、患者様が「生涯にわたって安全に噛み、飲み込める機能を維持する」ことを目的とした継続的なサポート体制のことです。入れ歯を作った後も定期的に通院していただき、お口の機能が低下していないかをチェックし、必要に応じてリハビリや入れ歯の調整を行っていく「予防と管理」の概念です。

客観的なデータ(咀嚼能力、舌圧など)に基づく「見える化」

「最近少し食べづらい気がする」といった感覚的なものだけでなく、客観的な数値で機能を評価することが重要です。当院では、グミゼリーを噛んでいただき噛み砕く力を測定する「咀嚼能力検査」や、専用の風船を舌で押しつぶして舌の力を測る「舌圧検査」など、お体への負担がない検査(非侵襲的検査)を行います。これにより、どこがどのくらい衰えているかを正確に把握し、最適なアプローチを導き出します。

入れ歯の調整 +「お口のリハビリ」の相乗効果

口腔機能低下症を改善するには、隙間ができた入れ歯の裏側を材料で埋めて合わせる(裏装・リベース)といった「道具の調整」だけでは不十分です。入れ歯という道具を使いこなすための「筋肉のトレーニング」が不可欠です。舌を動かす体操、頬を膨らませる運動、唾液腺のマッサージなど、お口のリハビリテーション(MFT)を併用することで、初めて「力強く噛める機能」を取り戻すことができるのです。

4. 竹村歯科クリニックが実践する「一生噛める」ための継続サポート

竹村歯科クリニックは、患者様の「これからの豊かな人生」を守るため、徹底した入れ歯作製と口腔機能管理の体制を整えています。

妥協しない精密な入れ歯作りと細やかな調整

当院では、お口の中の筋肉の動きや噛み癖までを緻密に計算した型取りを行い、患者様一人ひとりに合わせた精密な入れ歯を作製します。保険適用の義歯から、薄くて食事の温度を感じやすい自費補綴(金属床義歯など)まで幅広く対応しております。作製後も、お口の微妙な変化に合わせて数ミリ単位の細やかな調整を重ね、常に「ぴったり噛みしめられる状態」を維持します。

▶ 詳細はこちら:院長紹介・当院の想い

歯科衛生士と二人三脚で行うお口のトレーニング

お口のリハビリは、毎日の継続が何より大切です。当院では、専門知識を持った歯科衛生士が、患者様の状態に合わせた「お口の体操」を優しく丁寧に指導いたします。毎月のメンテナンスの際に、「舌の力が強くなりましたね!」「滑舌が良くなりましたね!」と一緒に成果を確認し合うことで、モチベーションを保ちながら楽しくトレーニングを続けることができます。

通院困難になっても安心の「訪問診療」による機能管理

「今は通院できているけれど、将来寝たきりになったら入れ歯の調整はどうなるの?」というご心配は不要です。竹村歯科クリニックは、ご自宅や介護施設へ直接お伺いする「訪問歯科診療」にも力を入れています。通院が難しくなっても、生涯にわたりかかりつけ歯科医として、入れ歯の調整と口腔機能管理を最期まで継続して行えることが、当院の最大の強みです。

▶ 詳細はこちら:訪問歯科診療のご案内

5. よくあるご質問(Q&A)

Q.

古い入れ歯でも調整すれば噛めるようになりますか?

A.

はい。入れ歯自体が極端にすり減ったり割れたりしていなければ、歯ぐきとの間にできた隙間を新しい材料で埋める「裏装(リベース)」という処置を行うことで、再びぴったりとフィットさせることが可能なケースが多くあります。まずは今お使いの入れ歯をお持ちいただき、ご相談ください。

Q.

口腔機能の検査には痛みはありますか?

A.

ご安心ください、痛みは全くありません。グミゼリーを数秒間噛んでいただいたり、小さな風船のような器具を舌で上顎に押し当てていただいたりするだけの簡単な検査です。お体への負担が非常に少ない(非侵襲的)ため、ご高齢の方でも安心して受けていただけます。

Q.

施設に入居している親にも口腔機能管理を受けさせたいのですが。

A.

もちろん可能です。当院の訪問診療では、介護施設へお伺いして入れ歯の調整や口腔機能の検査、嚥下体操の指導などを行っております。施設スタッフの方々とも連携を取りながら、最善のサポートをさせていただきますので、まずはお電話にて状況をご相談ください。

6. まとめ:最期まで自分らしく生きるために、お口の機能を管理しよう

お口の健康は、全身の健康と豊かな生活の源

家族と一緒に美味しい食事を味わい、たくさん笑って会話を楽しむ。そんな当たり前の日常を支えているのは「お口の機能」に他なりません。合わない入れ歯を放置して食事の楽しみを奪ってしまうことは、健康寿命を縮めることに直結します。定期的な口腔機能管理を受けることで、この豊かな時間をいつまでも守り続けることができます。

「年のせいだから」と諦めず、プロのサポートを頼ってください

ご高齢の方ご本人は、「もう年だから固いものが食べられなくても仕方ない」「痛くても我慢すればいい」と諦めてしまいがちです。しかし、適切な入れ歯の調整とリハビリを行えば、必ず機能は改善に向かいます。ご家族の方も、もし親御さんの食事の様子に変化を感じたら、放置せずにぜひ歯科医院の受診を勧めてあげてください。

口腔機能やお入れ歯のご相談は、竹村歯科クリニックへ

竹村歯科クリニックでは、入れ歯に関するお悩みや、お口の機能低下に関するご相談を随時受け付けております。「どんな治療が必要か」「今からでも噛めるようになるか」など、専門スタッフが丁寧にお話を伺い、最善の治療法をご提案いたします。ご本人様はもちろん、ご家族様からのご相談も大歓迎です。豊かなシニアライフを守るために、まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆・監修者
竹村歯科クリニック 院長:竹村 洋志(たけむら ひろし)

川崎医科大学 口腔外科での勤務を経て、2000年に愛知県春日井市にて竹村歯科クリニックを開業。「目の前の患者様にとって最善策とは何かを問い続け、本当に望まれる治療を提供する」ことを理念に、地域医療に貢献。歯を抜かない予防治療から、精密な入れ歯治療、訪問診療(口腔機能管理)まで幅広く対応している。

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