2023.07.21
知ってほしい!セラミックの耐用年数はどのくらい?
春日井市 味美駅近くの歯医者、竹村歯科クリニックの院長 竹村 洋志です。
「セラミックインレーはどれくらいの期間もつのでしょうか?」
「セラミックの価格」に次いでよく問われるのが「セラミックの耐用年数」についての質問です。
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【参考情報】審美歯科のセラミック治療:よくある質問と回答
セラミックインレーにはさまざまな種類が存在しますので、それぞれについて説明します。
セラミックインレーの耐用年数には、「素材自体の耐久性」と「接着用セメントの耐久性」の2つの観点があります。
・e-MAXインレーの耐用年数
美観性と耐久性を両立するe-MAXは、セラミックインレーの中でも特に選ばれることが多いです。
セットする際のセメントと歯の接着性が重要で、乾燥状態を確保することで接着力が向上し、
自然の歯に近い耐磨耗性を有するため、耐用年数も長くなります。
その平均耐用年数は、10〜15年とされています。
・ジルコニアインレーの耐用年数
人工ダイヤモンドとも言われるほどの硬さを持つジルコニアインレーは、
自体が壊れることはほとんどなく、セメントの耐久性が影響します。
その平均耐用年数は、約10年です。
●セラミックの耐用年数は患者様に左右されます
セラミック治療は、インレーをセットした後が実は始まりです。
それは、各素材が異なる特性を持ち、耐用年数は日々の歯磨き、
定期的な歯科医院でのメンテナンス、歯ぎしりや食いしばりの程度、ナイトガードの使用状況などにより、個々の患者様で異なるからです。
どのようなアフターケアが必要かは主治医との相談により、長く使用するための対策を立てましょう。
セラミックの平均耐用年数を超えるかどうかは、患者様次第といえます。
●前歯用セラミッククラウン(かぶせ物)の耐用年数
奥歯に比べてすり減りにくい前歯のクラウンは、一般的に耐用年数が長いです。
セラミッククラウンの種類により異なるため、詳しく説明します。
・プレミアムセラミック:10〜15年
ジルコニアの上にセラミックを盛り上げるため、ジルコニア単体に比べて強度が劣ります。
・クリアセラミッククラウン:8〜10年
これはセラミック単体のため、ジルコニアに比べると硬度が劣ります。
・硬質レジン前装冠:2年
これは保険で前歯に使われる材料で、金属の上にプラスティックを盛ったものです。
2年程度で色が変わる傾向があります。
なぜ治療を必要としたのか、その原因を理解することで、これ以上の歯の喪失を防ぎ、
奥歯のセラミッククラウンの耐用年数を縮めることなく対処することが可能です。
例えば、「歯と歯の間の虫歯が進行し、神経に達したため根管治療を行った後、セラミッククラウンを選択。
その後、欠けたり、割れたりして再治療を必要とした」とします。
一般的に、「治療したセラミックが損傷する」ケースの多くは「歯ぎしり・食いしばり」が原因と予測されます。
そして、奥歯のセラミッククラウンの耐用年数を延ばすためには、就寝時のナイトガードの使用が重要です。
当院では、歯を失う原因を推測し、セラミックの耐用年数をできるだけ延ばす提案を行っています。
●セラミックの耐用年数を短縮する原因
生活環境やケアの方法などにより、さまざまな原因が考えられます。
セラミックは天然の歯と同等には及びませんが、銀歯やプラスティックに比べて精度や美観性も優れた素材です。
その耐用年数をできるだけ長くするためには、まず、セラミックの耐用年数を短縮する原因を理解することが重要です。
以下に示されている内容をご覧いただき、参考にしていただければと思います。
・歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりはセラミックの寿命を縮める主要な原因となります。
覚醒時の最大咬合力は約20kgとされていますが、睡眠時のそれは驚くことに5倍以上となる100kgを超えることがあります。
これは毎日、歯にお相撲さんが乱暴に歩き回っているようなものです。これが日常となれば、セラミックが耐えられず、欠けたり割れたりしてしまうことがあります。
・硬い歯ブラシの使用
陶器製の食器を金属製のスクラバーで洗う人はまずいませんよね。
しかし、セラミックの歯は陶器と同じ材料でできているにもかかわらず、確実に磨かれている感覚が得られないと感じ、
硬めの歯ブラシで強く磨く方がいらっしゃいます。しかしこの行為はセラミックに傷をつけ、摩耗を早めてしまい、その寿命を縮める結果となります。
・歯を食べ物以外の目的で使用する
確かにジルコニアなどは非常に硬い材料であるとはいえ、セラミックの歯をビール瓶を開けるための栓抜き代わりや、
糸を切るためのはさみ代わりに使用すると、欠けたり割れたりするリスクが高まります。
・転倒や事故によるダメージ
多い例ではありませんが、転倒したり、何かにぶつかったり、ボールが当たったりすることにより、
前歯が砕けたり、欠けたりし、結果的に壊れてしまうケースがあります。
これらの事故は周囲の歯にも影響を及ぼす可能性があり、
重症の場合は抜歯を余儀なくされることもあるので注意が必要です。
以上、主にセラミックの寿命を短くする可能性のある4つの要素をご紹介しました。
セラミック自体の劣化はほぼゼロに近いですが、強い衝撃や摩耗により破損することがしばしば見られますので、
これらに対する注意が必要です。
では、セラミックの寿命を長くするためにはどうすれば良いでしょうか?
セラミックを入れる際には、自費診療となるので、長く維持したいと思う方が大多数でしょう。
では、セラミックの寿命を延ばすためのアドバイスをいくつか紹介します。
・ナイトガードの活用
私自身も夜だけでなく日中も着用しているナイトガードが一つの解決策です。
ハードタイプのナイトガードを使用していると、硬さが逆にセラミックに良くないのではないかと思う方もいらっしゃいますが、
これは自動車のバンパーのように衝撃を和らげる役割があります。
岡山大学の研究チームによると、昼間の歯ぎしりが存在すると歯周病が進行しやすく、
その可能性が歯ぎしりが無い場合に比べて4.9倍高いとの結果を発表しています。
ナイトガードを定期的に使用すると、歯周病だけでなく、
歯ぎしりによるセラミックの破損や摩耗も予防する効果があります。ぜひとも導入をお考えください。
・定期的な診察とPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
ほとんどの方が既にご存じかと思いますが、定期的な診察で虫歯や歯周病をチェックし、
プロのクリーニング(PMTC)を受けることは、天然の歯だけでなくセラミックの寿命を延ばす上でも非常に有用です。
そのため、3か月に1度は定期検診を受け、クリーニングを行っていただくことを強く推奨します。
歯についた汚れを除去し、口内を清潔に保つことで、セラミックの持続性も向上します。
・日々のブラッシングとフロッシング
歯ブラシは硬め、普通、柔らかめの3種類がありますが、どのタイプを選んでいますか?
セラミックを装着した後は、柔らかめの歯ブラシを選択することをおすすめします。
なぜなら、セラミックの歯を磨くのは、お茶碗や皿をやさしくスポンジで洗うのと似ており、
柔らかいブラシを使うことで傷つけたり、摩耗させたりするリスクを減らすことができます。
次にフロッシングについてです。
アメリカでは、「フロスorダイ(フロスしなければ歯を失う)」という言葉があります。
これは歯の清潔さへの意識の高さを示していますが、日本ではまだそのレベルに達していないかもしれません。
ただし、セラミックを選んだあなたは既に歯への意識が高いはずですので、
まだフロスを使っていない方は、今後は使用を始めることをおすすめします。
フロスをセラミックの歯間に通す際は、無理に上に引き出すのではなく、上下に動かした後、そっと前方に引き出すようにしましょう。
強引に引き抜こうとすると、接着剤の結合が弱まり、セラミックが外れる原因となることがあります。注意が必要です。
・年1回のレントゲンチェック
毎年一度はレントゲンを使って、セラミックを装着した歯の状態を確認しましょう。
歯科医師がルーペを使っても、セラミックの内部やその下の状態を確認することはできません。
銀歯と違い、セラミックの下の歯が虫歯になる確率は低いですが、微細な隙間から細菌が侵入し、
虫歯が広がる可能性は完全にゼロではありません。
正確な診断のため、年に一度はレントゲンを撮影し、全ての歯を確認することをおすすめします。
歯科レントゲンによる放射線被曝は、日常生活における被曝量と比べて非常に微量なので、ご心配は不要です。
このブログが皆様の歯科治療のご参考になれば幸いです。
次回もまた、歯科に関する有益な情報をお届けいたしますので、ぜひご覧ください。
また、何かご不明な点や質問がありましたら、お気軽にお問合せ下さい。
竹村歯科クリニック
愛知県 春日井市 味美 白山町1丁目4−1
歯科医師 院長 竹村 洋志
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